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2006年5月 4日 (木)

2つの『よみがえる源氏物語絵巻』

030genjiemaki昨年秋に完成した国宝『源氏物語絵巻』復元模写プロジェクトは、「よみがえる源氏物語絵巻」という番組名でNHKで特集され、この名称が完成した復元模写を公開する展覧会の名前にもなりました。
それに伴って、現在『よみがえる源氏物語絵巻』という同じ書名の本が2冊出版されています。
1冊は徳川美術館・五島美術館発行の展覧会図録(写真右)。
もう1冊は、TV番組の内容をまとめたNHK出版の本(写真左)。
どちらも見応え充分です。

復元模写を全図収録しているという点は2冊とも一緒なのですが、違う点もいろいろあります。
例えば収録順。
図録は巻の順番どおりに蓬生、関屋、柏木(一)・・・と並んでいるのですが、NHK出版の方は復元模写の過程を追う構成になっているので、復元された順に並んでいます。
最初に柏木(三)で、次は宿木(三)、続いて竹河(一)・・・といった具合です。
物語の順番どおりに楽しむなら図録、復元模写プロジェクトの進行を追体験するならNHK出版、でしょうか。

模写の収録方法に関しては、もうひとつ大きな違いがあります。
それはページの背景色。
図録はオーソドックスに白の背景なのに対し、NHK出版では背景が黒で、両者を並べると同じ絵でも随分と印象が違って見えます。
この絵を、東屋(一)に描かれているように青々とした畳の上に広げてみたら、どんな印象になるのだろう?
そんな想像も掻き立てられます。

復元模写の図版以外のページは、当然のことながらかなり内容が異なります。

図録の方の注目点は、何と言っても「国宝「源氏物語絵巻」模写の系譜」と題された12ページに亘る図版集。
五島美術館で展示された模本類が収録されており、貴重な資料です。
それと、徳川・五島両美術館の職員によるプロジェクトの解説が載っていて、分量はコンパクトですが内容は面白い!
鈴虫(一)の書き入れ文字は「絵師の構想段階の自分のためのメモ」ではないかという名児耶明氏の指摘は、目から鱗でした。

NHK出版の方は、番組で取り上げた復元模写作成時のポイントが丁寧に記録されています。
総合テレビや衛星第一での放送時にはカットされてしまったトピックも載っているので、ハイビジョン版の番組を見られなかった方には特にお薦めです。
また、こちらの本の最後には、復元模写と詞書のCG復元をつなぎ合わせた絵巻の図版が収録されています。
詞書の復元はまだ一部分しかできていないそうですが、一部だけでも、あの絢爛豪華な絵に負けない料紙の煌びやかさで驚かされます。
詞書もすべて復元されたらどんな姿になるのでしょうか。
“次”の楽しみがあるのがまた嬉しいところです。

それぞれに見所と面白さのある2つの『よみがえる源氏物語絵巻』
2冊とも買って正解だと思います。どちらもお薦めです。

【BOOK DATA】
『よみがえる源氏物語絵巻』(リンク先:五島美術館Webサイト)
監修:徳川美術館・五島美術館
編集:NHK名古屋放送局・NHK中部ブレーンズ
発行:NHK名古屋放送局・NHK中部ブレーンズ
発行日:2005年11月12日(五島美術館版は2006年2月18日)
定価:2,000円(税込み)
大きさ:103p 25cm×27cm

『よみがえる源氏物語絵巻:全巻復元に挑む』(リンク先:NHK出版Webサイト)
著者:NHK名古屋放送局「よみがえる源氏物語絵巻」取材班
発行:日本放送出版協会
発行日:2006年2月25日
定価:2,100円(税込み)
大きさ:157p 26cm×21cm
ISBN:4140810882

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