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2006年6月18日 (日)

『源氏物語図典』

034zuten 秋山虔, 小町谷照彦編;須貝稔作図 小学館 1997年
ISBN:4-09-362061-X 税込3,570円

“図典”というタイトルのとおり、『源氏物語』に登場する建築物や生活用品・儀式行事などを、多彩な図版と簡潔な解説文でまとめた本。
『源氏物語』に出てくる事柄は、かなり広範囲にわたって網羅しています。

目次は以下のとおりです。

  • 京と宮殿
  • 建築物
  • 調度
  • 乗物
  • 衣服
  • 色・文様
  • 音楽・舞楽
  • 遊戯・娯楽
  • 信仰・宗教・俗信
  • 年中行事・儀式
  • 通過儀礼
  • 貴族生活の諸相
  • 植物・動物
  • 付録(物語の大要 官職一覧 系図 地図 地名・歌枕一覧)

この本の最大の特長は、なんといっても豊富な図版です。
280枚のカラー写真にモノクロ図版が320点、合計でなんと600点!
これだけふんだんに図版を取り入れている本はなかなかないと思います。
カラー図版は写真・絵巻・復元模型など多種多様で、あまり直接目にする機会のない古文書類の図が含まれている点も貴重です。
モノクロ図版の方は、絵巻などから抜き出した線画が中心で、輪郭がはっきりわかって重宝な上、すべての線画に出典が明記されているので原画へのレファレンスもばっちり。
絵巻に興味のある方や、平安時代を舞台にした漫画やイラストを描こうという方には特にお薦めです。

解説文は、全253pの中に1000項目も盛り込んでいるので1項目ずつは短文ですが、わかりやすい端的な説明に加えて、『源氏物語』のどの場面にどういう形で登場するかが例示されています。
項目に立てられている事物と、それが描かれた場面の原文と、両方の理解を相互に深められる優れモノの構成です。
(カテゴリ「平安の風俗」の記事では、取り上げた事物そのものの説明と『源氏物語』や他の作品での描かれ方を載せていますが、この構成は実はこの本の解説文に倣ってのものです)
先にご紹介した『平安時代史事典』や『平安時代の信仰と生活』『平安時代の儀礼と祭事』が平安時代全般を対象にしているのに対し、この本は『源氏物語』に焦点を絞っているので、知りたい内容に応じて使い分けると効果的かと思います。

現代語訳からもう1歩踏み込んで『源氏物語』の世界を味わいたいとお考えの方に、是非お薦めしたい1冊です。

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