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2006年11月 7日 (火)

『平安時代史事典 CD-ROM版』

074heian_cd 以前、同名の記事でご紹介しました『平安時代史事典』(角川書店 1994年)が、2006年10月にWindows対応のCD-ROM版で復刊されました。
本編(上下巻)の内容が1枚のCD-ROMに収録され、別冊の資料・索引編のうち資料編283ページ分が、書籍版と同じサイズのB5版ソフトカバーで添付されています。

『平安時代史事典 : for Windows CD-ROM版』
角田文衞監修;古代学協会, 古代学研究所編
出版:角川学芸出版 発売:角川書店 2006年10月刊行
ISBN:4-04-621991-2 税込定価\88,200(本体\84,000)

詳しい動作環境などは角川学芸出版商品案内ページをご覧いただくとして、ここでは1ユーザーとして使ってみての感想を書きたいと思います。

CD-ROM版では「見出し五十音別検索」「見出し入力検索」「分類検索」「全文検索」の4種類の検索メニューが用意されていますが、特筆すべきはやはり4つ目の全文検索です。
例えば清涼殿について調べるとき、勿論「清涼殿」という項目は事典の中に立っていますが、他の項目でも解説文の中でさまざまに清涼殿に関する言及がされています。
書籍版でそうした項目を拾うことは不可能でしたが、CD-ROM盤の全文検索を使えば簡単に一括抽出が可能です。
他にも、“『源氏”というキーワードでの全文検索で、解説文中に「『源氏』に「…」との記述がある」というようなことが書かれている項目を集めたり、AND検索も可能なので、“宇治”“別業”の掛け合わせで宇治にあった別業や別業を営んだ人物などを調べたり、といったことができます。
更に、解説文を表示させると文中のキーワードが黄色く網掛け表示されるので、知りたい部分を素早く確認できます。
この機能は本当に便利で、いろいろな場面で活用できるだろうと思います。

2つ目の「見出し入力検索」にも、デジタル媒体ならではの長所があります。
長所の1つ目は、漢字で検索できること。
本や論文に書かれている漢字の言葉、読み方がわからないときに書籍版で調べようと思ったら、索引編で最初の文字の総画数から辿って本編のページ数を探す必要がありましたが、CD-ROM版なら書いてある文字をそのまま検索窓に入力すればOK。
また、『平安時代史事典』は人名がすべて訓読み(例えば徽子女王は「きしじょおう」ではなく「よしこじょおう」)で収録されていて、書籍版では正直に言って非常に引きにくかったのですが、漢字検索が可能になったことでこの問題も解消されました。
長所2つ目は、部分一致や後方一致でも検索できること。
例えば白文の史料を読んでいて、どこで言葉が区切れるのかわからないとき、とりあえず適当に2・3文字入れてみて部分一致検索をすると、該当する言葉が見つかる可能性があります。
また、これも漢文史料に多い例ですが、「○○朝臣」のように下の名前しか書かれていない人物について知りたいとき、後方一致で検索すればその人物を探し出すことができます。

ユニークな検索メニューは、3つ目の「分類検索」
各項目を「人物」「政治」「有職」「考古」など14の分野に分類し、更に細分類を加えて分野毎に項目を通覧できるようになっています。
例えば「有職>年中行事」と展開すると、行事名や行事に関わる役名、行事に纏わる風物など、196件もの項目が並んでいて、調べ物の目的だけでなく順番に読んでいっても面白いのではないかと思います。

本文表示についても、「しおり」「履歴」などで前に見た項目に戻れたり、検索結果を複数選択してタブで同時に表示できたりする機能が付いている他、解説文中に出てくる他の見出し語にハイパーリンクで飛べる仕組みもデジタル媒体ならではの長所です。
更に、解説文の一部を選択してクリップボードにコピーしたり、項目全体をテキストファイルでダウンロードできる機能もあるので、必要な部分だけを抜き出して整理する作業も簡単です。
(言うまでもありませんが、ダウンロードした文章をそのまま自分のレポートなどに使用する行為は著作権侵害になります)

最初に書いた値段のとおり、決して気軽に手の出せる買い物ではありません。
ですが、『平安時代史事典』が刊行から12年を経た今も尚、代わりの利かない重要な資料であることは間違いありませんし、書籍版では調べられない情報も検索でき、便利な機能もいろいろ加わっていますので、今後も平安時代・平安文学と付き合っていく方なら絶対に買って損はないと思います。
お薦めです。

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