« 中将光源氏の年齢 | トップページ | 住吉大社 »

2007年5月16日 (水)

『平安時代儀式年中行事事典』

121gishiki 儀式・年中行事は、平安貴族の生活の中で大きなウェイトを占めており、『源氏物語』の中にもさまざまな形で取り入れられています。
そうした方面の知識を得るための資料として、これまでも『平安時代の儀礼と歳事』『平安朝の年中行事』をご紹介してきましたが、今回の資料は、
「儀式書などの史料そのものを読んでみたいけれど、白文の原文には歯が立たない」
という私のような素人愛好家にとって正にうってつけの1冊です。

『平安時代儀式年中行事事典』
阿部猛, 義江明子, 相曽貴志編 東京堂出版 2003年
ISBN:4-490-10624-6 税込6,825円

内容は3部構成で、まず「第一部 儀式年中行事事典」で1~12月の年中行事と月中行事、臨時の行事、更に摂関家行事が解説されています。
“事典”という書名のとおり、行事名を項目として、それぞれの行事の由来や儀式の流れ、歴史的変遷などを記載しているのですが、ありがたいのは儀式書などの史料記述を噛み砕いて現代文に直した上で、逐一その記述がどの史料に拠っているか明記してあること。
史料と照らし合わせて読むことができるので、漢文の読解に自信のない人にも心強い解説文になっています。
勿論『古事類苑』の掲載箇所や関連する研究書も項目毎に掲載されていますので、より詳しく調べたいときの案内口としても役立ちます。

個人的に一番感激したのは「第二部 儀式書解題」
『西宮記』『江家次第』などの儀式書や『小右記』『御堂関白記』などの日記、『弘仁格式』『延喜式』などの法典その他、儀式・年中行事の研究に必須な史料約300点の解題が掲載されています。
実際、有職故実などの解説を読んでいると、見たことも聞いたこともない史料名にぶつかって「これっていつの時代に書かれたどういう本???」と戸惑うことが少なくないので、それぞれの史料の種類(日記なのか儀式書なのか記録文書なのか、など)や成立年代、著者、内容の概略などが解説されているのは本当に重宝します。
しかも、刊本がある史料については収録叢書名なども掲載されているので、わざわざ日本古典籍総合目録国文学研究資料館作成)を検索し直さなくても本文を探すことができ、とても便利です。

「第三部 用語解説」では、900語ほどの儀式・年中行事関係の用語の簡単な解説が載せられています。
1語につき4・5行ほどの解説ですので、第一部の記述の中でわからない言葉が出てきたときにちょっと参照する、というような使い方を想定しているのではないかと思います。

非常にユニークなのは、巻末の索引です。
最初に

難読事項を配慮して、本索引は通常の読み方をやめ、漢字の最も慣用的な読み方(音訓にかかわらず)の五十音順に配列した。

との注記があるとおりで、漢字を単純に仮名に直したときの五十音順で並んでいるのです。
その結果、「朝賀」「綾綺殿」「有職故実」などの語があ行にあったり「石清水」が「伊勢」より前になっていたりと、読みを知っていると逆にぎょっとするような配置も多々ありますが、これはこれでひとつの工夫ではあるでしょう。
「荷前(のさき)」や「御体御卜(おおみまのみうら)」のように知らなければ絶対に読めない行事名や、「供○○」を「○○をぐうす」と読むような独特の読み癖もありますので。
ただ、“最も慣用的な読み方”の基準がはっきりしないために首を傾げたくなる配列も散見され、「個々の漢字の音読み」というような形で読み方を統一した方が引きやすくなったのではないかな…とは思います。

既に法華八講(7)儀式次第で参考文献として掲載していましたが、この先頻繁に利用する資料になりそうです。
平安時代の儀式関係にご興味をお持ちの方は、是非大きな書店や図書館などで実物をご覧になってみてください。

日本ブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックをお願いいたします。
 にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 歴史ブログへ

|

« 中将光源氏の年齢 | トップページ | 住吉大社 »

資料紹介」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/113097/14973827

この記事へのトラックバック一覧です: 『平安時代儀式年中行事事典』:

» 平安時代儀式年中行事事典 [時代激麻呂]
平安時代儀式年中行事事典 [続きを読む]

受信: 2009年5月 9日 (土) 12時56分

« 中将光源氏の年齢 | トップページ | 住吉大社 »