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2007年8月 5日 (日)

京都御所

147gosho_1『源氏物語』の舞台となった場所は沢山ありますが、実在する建造物で最も多くの場面の舞台となっているのは、何と言っても平安宮内裏です。
清涼殿は、桐壺帝の桐壺の更衣追慕の場面や光源氏の元服、冷泉帝御前での絵合わせ、夜居の僧都の密奏、などの物語の重要な場面の舞台として度々登場しますし、花宴巻冒頭の桜の宴の舞台となった紫宸殿、雨夜の品定めが繰り広げられた淑景舎など、読者の印象に深い場面がいくつも内裏の中で展開しています。

平安宮内裏があった場所は、現在では西陣の市街地に埋もれており、承明門や内郭回廊の跡が発掘された地点に建てられている石碑と説明書きの看板くらいしか往時を想像する手がかりはありません。
(ただし、ヨウダさんのWebサイト・平安京探偵団の「平安宮跡めぐり5」によると、2006年頃に弘徽殿や一本御書所の跡にも石碑が建てられ、綾綺殿跡にはショップ&カフェ「綾綺殿」というお店もできたそうで、だんだんと平安宮内裏の形跡を辿るよすがは増えてきているようです)
対して、場所は異なりますが復元された建物を通して内裏の面影を伝えてくれるのが、平安宮内裏跡から1.6kmほど東にずれた位置に現存する京都御所です。

148gosho_2 149gosho_3 京都御所の起源は、里内裏のひとつであった土御門東洞院殿で、元弘元[1331]年に光厳天皇がここで践祚して以降、事実上の内裏として固定化しました。
平安時代の平安宮内裏と同様に火災による焼失と再建を繰り返した御所は、天明八[1788]年の火災後、『大内裏図考証』の著者・裏松光世(法名固禅)による有職故実研究の成果を取り入れ、古制に則って寛政二[1790]年に再興されました。
このときの御所も再建から64年後、嘉永七[1854]年の大火で灰燼に帰してしまいますが、その後の再建に際しては寛政の造営が踏襲され、安政二[1855]年に現在の京都御所が完成しました。

150gosho_4151gosho_5 京都御所と平安宮内裏では、当然のことながら規模も建物の配置もかなり異なりますが、紫宸殿・清涼殿・飛香舎の3つの殿舎と建礼門、承明門、玄輝門などの一部宮門が再現されています。
建礼門、宜秋門、朔平門、建春門の外側の4門はいつでも京都御苑側から見られる他、通常の参観では承明門越しの紫宸殿と清涼殿の東側を見ることができます。
152gosho_6清涼殿の東庭には『年中行事絵巻』さながらに河竹・呉竹の台があり、昼御座や石灰壇、『枕草子』第二十段「清涼殿の丑寅の隅の」でお馴染みの「荒海の障子」なども見られます。
また、春と秋の一般参観では日華門をくぐって紫宸殿の前まで行くことができ、特に春は運がよければ左近の桜の開花時期に当たって花宴巻冒頭の世界を味わえます。
斎王卜定など朝廷の公式の占いを行った軒廊(紫宸殿東脇から宜陽殿につながる回廊)も、一般参観で見ることのできる場所です。
更に京都御所の歴史や皇室にとって記念の年に当たると、一般参観のコースが拡大され、普段は非公開の飛香舎の東・北側と玄輝門も見学できます。
153gosho_7「藤壺」の別称の由来となった藤棚は、残念ながら南庭にあるので建物越しにちらっとしか見えませんが、格子が上がっているので廂の間までは見通すことができます。
薫が今上帝の碁のお相手をして菊の花一枝を許されたのは、飛香舎のどの辺りだったのだろう?などと想像するのも楽しいでしょう。
最近の例では、1998年(天皇陛下御即位10年記念)と2005年(安政の内裏造営150周年記念)の秋に特別公開が行われました。
この傾向でいくと、今上天皇在位20年となる来年・2008年の一般参観は要チェックです。

平安時代の雅を現代に伝える華やかな葵祭の行列も、この京都御所から出発します。
『源氏物語』の世界をイメージとして掴む上で欠かせない建造物です。

写真は上左から順に、以下のとおりです。

  • 承明門越しに見た紫宸殿(2004年12月2日撮影)
  • 承明門側から見た建礼門(2005年11月5日撮影)
  • 紫宸殿の扁額と左近の桜(2005年4月9日撮影)
  • 清涼殿と東庭(2005年4月9日撮影)
  • 弘徽殿上御局の格子と「荒海の障子」(2005年4月9日撮影)
  • 紫宸殿と軒廊(2005年11月4日撮影)
  • 北東隅から見た飛香舎(2005年11月5日撮影)

【Data】
住所:京都市上京区京都御苑
交通:市営地下鉄烏丸線今出川駅または市バス烏丸今出川から徒歩5分
拝観:通常は要事前申込(宮内庁ホームページ内「参観案内」参照)
   春と秋の一般参観は申込不要(時期は年によって異なる。概ね4月と11月の上旬)
   いずれも参観無料
tel.:075-211-1215(宮内庁京都事務所参観係)

【参考文献】
古代学協会, 古代学研究所編『平安時代史事典 CD-ROM版』角川学芸出版 2006年
『京都御所』伝統文化保存協会 2002年
五島邦治監修;風俗博物館編集『源氏物語 六條院の生活』(改訂版)青幻舎 1999年
平安京探偵団「平安京を歩こう」

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