« 裁縫 | トップページ | 鞍馬寺 »

2008年4月11日 (金)

『京都源氏物語地図』

192genjichizu アクセス解析を見ていると「源氏物語 ゆかりの地」といった検索キーワードで当Blogにアクセスなさる方が結構多いようなので、今回はそういう情報をお探しの方にお薦めの地図をご紹介いたします。

『京都源氏物語地図』
紫式部顕彰会編纂 思文閣出版 2007年
ISBN:978-4-7842-1372-6 税込840円

タイトルに相応しく優美な藤立涌文様で飾られたケースを開けると、地図が1枚と解説冊子が1冊。
地図は両面で、平安京内の第1図と、北は鞍馬から南は岩清水・宇治までの京外を収めた第2図が、表裏に印刷されています。

この地図の特徴は、何と言っても“1枚の地図で『源氏物語』の世界と平安時代と現代とを重ねて見られる”こと。
現代の京都の地図に、平安時代の道路や歴史上の邸宅・寺社等、それに『源氏物語』に登場する建物などの位置が色分けして記載されているのです。
現代の地図に平安京条坊図を重ねた地図は、今までにもあったと思います。
平安京条坊図や平安時代の街道を描いた地図の上に『源氏物語』に登場する建物の想定位置などを書き込んだものも、割とよく目にします。
ですが、現代と平安時代と物語の世界を3つ一遍に重ね合わせた地図というのは、これまでなかったのではないでしょうか。
とてもユニークで面白い試みだと思います。

歴史上の邸宅と物語の邸宅を地図上で同時に眺められることで、登場人物の邸宅に想定される位置に実際にはどんな建物があったのかがわかり、想像が膨らみます。
例えば、物語上の右大臣の邸に想定される左京三条二坊一町は、実際には東三条殿があり、その東隣で藤壺の三条宮に想定される同八町には定子中宮の二条宮がありました。
単に平安京条坊図に登場人物の邸の想定位置が書いてあるだけだと、どうしてその場所と考えるのが適当なのかがぴんとこないことが間々ありますが、『源氏物語』が書かれた当時にそこに何があったのかがはっきりすると擬えられた理由も理解できるようになります。
作者や同時代の読者も、実在する貴顕の邸宅を思い浮かべながら登場人物の邸の場所を想像していたのかも?と考えると、平安時代の読者の気分を疑似体験できる地図とも言えるかもしれません。

このような地図が現代の地図と重なっていることで、その場所に足を運んでみることも簡単にできます。
特に第1図については、石碑や駒札の場所、更には物語上の邸宅などの想定位置近辺のバス停まで記載されている充実ぶり。
折り畳んでケースにしまえば21cm×10cmというコンパクトサイズですので、荷物にもなりません。
地図を持って京都の町を歩くことを想定してつくられているのも嬉しい点です。

もう1つ忘れてはいけないのが、地図に付随する冊子です。
折り畳んだ地図と同じ大きさの小冊子で、全31ページとコンパクトながら、地図上に示された邸宅類の居住者と所在地、由来や概略、更に『源氏物語』の邸宅については関連する物語中の場面や想定地の異説も記されています。
地下鉄・バスの交通案内も付いており、地図本体と同様、現地を訪れるのに役立ちます。
また、『平安京提要』付図から転載された平安宮内裏復元図(現代の地図の上に発掘調査結果を基に復元した内裏の殿舎・回廊等の位置を重ねたもの)や、「『源氏物語』の地名と伝承地」「紫式部越前下向の道」と題した計4ページの解説文も収められていて、小さい割には盛り沢山の内容です。

机の上に広げて物語と歴史の交錯を眺めるもよし、携えて京都の町に飛び出すもよし。
いろいろな楽しみ方のできる地図だと思います。
思文閣出版Webサイト内の『京都源氏物語地図』のページには地図のサンプル画像も掲載されていますので、ご興味をお持ちの方は是非ご覧になってみてください。

日本ブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックをお願いいたします。
 にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 歴史ブログへ

|

« 裁縫 | トップページ | 鞍馬寺 »

資料紹介」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/113097/40831384

この記事へのトラックバック一覧です: 『京都源氏物語地図』:

« 裁縫 | トップページ | 鞍馬寺 »