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2008年6月14日 (土)

源氏物語おすすめスポット~6/14日経土曜版より~

今日の日本経済新聞土曜版に、「源氏物語おすすめスポット」と銘打ったランキングが掲載されていました。
そろそろ夏休みの旅行の計画を立てようかという人に向けての企画なのでしょう。
ランキングは、
源氏物語ゆかりの地に詳しい専門家ら13人に、おすすめの観光スポットを10位まで挙げてもらい、順位に応じて傾斜配分してポイント化して集計した
ものだそうで、選者には国文学研究資料館長の伊井春樹氏や平安京の地理の研究で著名な朧谷寿氏、『源氏物語の時代』著者の山本淳子氏、「月刊京都」編集長の山岡祐子氏など、なるほどと思わされる名前が並んでいます。
“観光スポット”という条件が付いている時点でかなり絞られてくるだろうと思いましたが、予想どおり極めて順当でマニア以外の方にも親しみやすい場所が連なる結果となりました。

※本記事中のこの色の文字は、日経新聞からの引用。以下同じ。

堂々の1位は、291ポイントを獲得した京都御所
2位の石山寺が153ポイントですので、ほぼダブルスコアの圧倒的な支持です。
当Blogでもご紹介しているとおり、場所は違えど雰囲気を味わうには絶好のスポットですから、個人的にもこの結果には納得です。
(宮内庁が源氏物語千年紀に協力するかどうかはわかりませんが、折しも今年は今上天皇在位20年に当たりますので、秋の一般公開では参観範囲の拡大もあるのではないかと期待しています)

逆に意外だったのが石山寺です。
おすすめスポット2位に挙がったことは意外でも何でもないのですが、紫式部研究においては完全に否定されている『源氏物語』起筆伝説がここでも喧伝されていることには驚きました。
伝承として伝えてゆくことは大切ですけれど、史実と誤解されかねない曖昧な表現で観光客向けのキャッチフレーズにしてしまうのには些か抵抗を覚えます。
ですが、「挙がったことは意外ではない」と申しましたとおり、この伝説ゆえに石山寺には各時代の『源氏物語』にまつわる美術品や文学作品が数多く奉納されていて常設の紫式部展でその一部を見ることができますし、源氏物語千年紀に際しても「源氏夢回廊」と銘打ってさまざまなイベントを開催しており、『源氏物語』好きの方には間違いなく楽しめる場所だと思います。

ネガティブな感想が続いて恐縮ですが、石山寺以上に抵抗を感じてしまうのが3位の野宮神社です。
日経の記事も、多くの観光ガイドなどと同様「光源氏が(中略)六条御息所と別れた場所」と言い切っていますが、斎王が潔斎のために籠った野宮は一代毎に占いで場所を選定して新造したため、実際は位置が一定していないのです。
私が調べた範囲では、野宮神社の地が確かに紫式部がモデルに用いた野宮だと断定する根拠もないようですし、他にも野宮跡との伝承を持つ神社は嵯峨野周辺に何箇所もあるのですが、なぜか野宮神社だけが有名になり観光地化したようです。
確かに周辺に有名な観光スポットが多く交通の便もよいので手軽な観光向きではありますが、いつ行っても若いカップルなどで大賑わいなので、少なくとも「遥けき野辺を分け入りたまふより、いとものあはれなり」(賢木巻)という雰囲気は期待しない方がよいと思います。

4位は平等院
こちらも「光源氏のモデルとされる源融の別荘があった場所に建つ」という断定調の説明文には「う~ん…」と思わないでもないのですが(それとも私が見つけられていないだけでちゃんと根拠があるのでしょうか)、「王朝時代の風情を感じ取れる」「宇治上神社との対比で」との推薦コメントには全面的に賛同します。
鳳凰堂の素晴らしさもさることながら、鳳翔館で間近に見られる雲中供養菩薩像の優美さには溜め息しか出ません。

5位の廬山寺は、故角田文衞氏によって紫式部の邸宅跡と考証されたことから、お寺の方でも積極的に『源氏物語』関連の展示を催したりしています。
1位の京都御所のすぐ近くですし、これからの季節は「源氏の庭」が青紫の桔梗に彩られますので時節柄としてもお薦めです。

6位以下は、下記のとおりです。

6位:渉成園
7位:大覚寺
8位:宇治川
9位:清涼寺
10位:鞍馬寺

個人的にお薦めしたいのは、当Blogでも取り上げている大覚寺と清涼寺、鞍馬寺でしょうか。
いずれも桜や紅葉が美しく、しかもそうした時期でもあまり混雑しない点が気に入っています。
『源氏物語』との関係については、リンクを張りました各記事をご覧いただければ幸いです。

京都文化博物館で8日まで開かれていた「源氏物語千年紀展」を京都府などと共に主催し、展覧会に合わせて朝刊文化面で「源氏物語 : 千年の波紋」という記事を連載するなど、今回の千年紀に力を入れている日本経済新聞。
今後も関連記事が載るかもしれませんので、紙面に注目したいと思います。

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年は源氏物語千年紀。何としても京都へは行っておきたいということで先週末2日間、行 [続きを読む]

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